IFRSで目指す経営モデル

情報システムへの影響


 IFRSにより,ビジネスの考え方・情報の捉え方が大きく変わり,

業務プロセスや組織等の企業活動の諸要素は,その影響を受けます。

   そして,対応期間や費用の面から最も大きな影響を受けるのは,これらを支える情報システムです。
 

 

     IFRSとシステムとの関係ですが,システムに関するIFRSの本質を一言で表すとすれば,

外部報告向け連結財務諸表作成に関する要請です。

   しかし,これは連結会計システムのみによる対応を示唆するものではありません。

連結会計の基礎情報は,単体会計情報であり,ERPパッケージソフトウエアに代表される

基幹系業務システムが,その生成を担っています。

   したがって,この基幹系業務システムを含めたグループ全体の“お金の動き”を司る

システム全般を,点検の意味も踏まえて,検討のテーブルの上にあげる必要があります。

 

 

◆システム以前に,目指すべき経営モデルの定義を


 システム対応の仕方には,IFRSベースの財務諸表を作るための最低限のシステム化や,

lFRSにより想定される業務量増加を克服し,現状の決算スピード維持・さらなる早期化を図るための

システム化,そして,グループ経営管理の実現・高度化を図るためのシステム化まで,

いくつかの狙いに応じた選択肢があります。

 

    そして,その選択における判断基準は,IFRS以前に,もしくはIFRS適用をきっかけとして,

どのような経営モデルを目指すべきか?」という経営の狙いや着地点を定めるこから導かれます。


  

     次ページの図表は,一般的にシステムを導入する際に,狙いとして挙げられる

“見える化’のレベルを縦軸に,業務プロセスの“標準化”のレベルを横軸にし,

従来の多くの日本企業」と「欧米のハイパフォーマンス企業」とのレベルの違いを図示したものです。

 

 

 

  IFRS経営モデル.jpg

    多くの日本企業の場合,見える化のレベルは,あくまでも,国内子会社,海外現地法人といった会

社や事業セグメント単位であり,連結会計の域に留まります

また業務プロセスやシステムも各社個別となっており,たとえ同一のERPパッケージソフトウエアを導入して

いる場合でも,中身の業務プロセスや機能は,会社により異なっているケースが大半です。

標準化されているのは本社に提供する情報のインターフェースプロセスのみ

という所が多い と考えられます。 

一方で,欧米のハイパフォーマンス企業では, 

会社単位を超え,よりマイクロな単位で,現法の営業拠点・店舗・営業マン,製品ブランドや品目別

のセグメント情報・かつ,P/L情報のみならず,B/S情報やC/F情報(キャッシュフロー)

・かつ,実績値のみならず,将来や直近の業績予測値         といった組合せで,

グループ全体をあたかも1つの企業体のように捉えられる程の見える化を実現しています。

    また業務プロセスや情報システムは標準化の域を越え,完全な共通化を成し遂げている会社も少なくあ

りません。

     具体的には,同一の経営管理や会計基準をベースとする共通情報システムでグローバルの全拠点の

業務を運営するなど,グローバルオペレーションの統一を成し遂げている のです。

 

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